D2Cブランドがおさえておくべきコールセンターの基本・コールセンターの重要性と構築の秘訣

D2C事業を行う上でCRMの大切さはみなさんご理解されているかと思います。ですが、オンライン化やデータドリブンを重視することが多いD2Cスタートアップではコールセンターの重要性や運営ノウハウの無いブランドが多いのではと考えました。
そこで今回はD2Cスタートアップにおけるコールセンターの基本を取り上げます。

D2C事業者の疑問…そもそもコールセンターって必要ですか?

D2C事業を行う上で必要なコールセンター業務の内容とは

大きく分けて2軸です。その2軸に対してさらに2軸で分類するので合計4分類の機能に分かれます。具体的には以下の通り。

  1. 新規ユーザー向け対応
    a. インバウンド
    b. アウトバウンド
  2. 既存ユーザー向け対応
    a. インバウンド
    b. アウトバウンド

1-a 新規ユーザー向けインバウンド
主にオフライン広告を見た購買意欲のあるユーザーから入る受電による問い合わせや申込みに対応します。
ここではすでに購入の意思決定をしているユーザーからの申込み以外にも、商品に対する問い合わせも入ってくるため、一定の製品に対する知識は必要になります。

1-b 新規ユーザー向けアウトバウンド
主にリストホルダーから委託されたリストを基に電話をかけ、商品をおすすめします。

2-a 既存ユーザー向けインバウンド
既存ユーザーからの解約申し込みや、定期コースの変更、その他製品に対する問い合わせなどを行います。受電の大半は解約申し込みとなりますが、解約理由から得られる製品に対するフィードバックから製品の改善につなげたり、ユーザーの声によっては使い方が誤っていると言うような場合もあるため、そういった場合は正しい用法をお伝えして継続を検討いただくなどが必要になります。
そのため、新規向けのインバウンドよりも高いコミュニケーション能力と製品に対する理解力が要求されます。

2-b 既存ユーザー向けアウトバウンド
既存ユーザーに向けて、クロスセルやアップセルの提案を行います。
ブランドによってはより効果を高めてもらうために併用した方がいい製品や、別の部位・別の機能を持つ製品を展開しているため、そういった製品を提案します。
詳細は後述しますが、新規獲得よりも高い確度で購入いただけるクロスセル、アップセルはLTV改善に効果的です。
過去の定期解約ユーザーに対して休眠顧客掘り起こしという事も既存のアウトバウンドでは行います。
方針によってやるやらないが分かれるのですが、直近購入いただいた既存顧客へのフォロー電話などがあります。

既存のインバウンドは最低限用意する必要があります。
電話での解約申し込みがつながらない場合やwebでの解約がわかりにくい場合など、ブランドに問い合わせ出来ない状況が消費者庁へのクレームにつがなる場合もあり、そういったリスクは排除しておくべきです。

D2Cスタートアップが把握するべきコールセンターが果たす役割とは

上記では簡単に機能を説明しましたが、コールセンターは広告やコンテンツマーケティングと違いリードを獲得する機能は弱いです。そのため、コストセンターという捉え方になりがちですが、LTVの向上に貢献するプロフットセンターとして捉えて運営していきましょう。
特に解約阻止に関してはwebでは出来ない力を発揮します。本当に製品がユーザーに合っていない場合もありますが用法が誤っている場合も多く、ユーザー・ブランドともに機会損失になる場合があります。こういった場面はコールセンターでのコミュニケーションで解決がしやすいです。

企業によっては初回の商品が届いた後(1週間〜2週間)にフォロー電話することもあります。実際にお客様に使用をしてみた感想を聞きいたり、届いても使用していない場合も想定されるので使用を促します。初期の1-2週間という短い使用期間では製品の便益も発揮できていない場合も多いため、長期に渡って使っていただくためのフォローアップを行います。
フォローコールは比較的高年齢層向けの製品だと効果的なケースが多いです。特にオフライン媒体から獲得した電話注文のユーザーとの相性がいいです、

ここ数年の傾向としてはweb上での活動が閲覧ではアクティブでもエントリーフォームの入力はハードルが高く電話の方が気軽な年齢層(50,60代メイン)のユーザーもいるので、データドリブンに行きがちなD2Cであっても、ターゲット層次第ではコールセンターを活用することでUXの向上にもなります。

D2C事業者はコールセンターを軽視しがち?効果的な運用方法とは

デジタルネイティブ世代の起業家はコールセンターを重視しない方も多いかと思います。
ですが、単品オファーからの定期引き上げを初回注文時に行う場合、チャットボットですと概ね50%ぐらいです。一方で、電話の場合70%程度見込めるため重要な施策になってきます。
webのユーザーにも電話を並行する事でUXを向上させたり、LTVを高めるといった成功事例も増えています。

始めたばかりで事業規模が小さく、完全にオンラインで完結する商材の場合はコールセンターがなくてもそこまで大きな問題は発生しません。しかし、コールセンターで適切なコミュニケーションが取れれば解約率の低下に繋げられますし、エンドユーザーの声を直接拾うことが出来るので、D2Cブランドにはコールセンターを設置することを強くお勧めします。

D2C事業成功のためのコールセンターの始め方とは

コールセンターを設置するには内製・外注の2種類の方法があります。

コールセンターを初めて設置する場合、月100件程度の受電までは社内で担当者を決めて内製から始めるといいでしょう。それ以下ですと外注にした際、1席分のキャパが埋まらずムダが出てしまいます。
コールセンターの料金が1席あたり月間いくらという料金体系が一般的なため、1席分を大きく割り込むような受電数ですと費用としては非常に割高になってしまいます。
内製化のメリットとしては、エンドユーザーの声を直接聞くことができる点があります。
トレードオフで人手を割かないといけない負担はありますが、初期の規模がまだ小さい時期では内製で運営するのがいいでしょう。

受電数が増え自社でまかなえない場合には、外注か併用が考えられます。外注のメリットは、社内リソースを別の業務に向けられるという点と、解約やクレームの電話を委託できる点です。クレーム対応のような内容を自社で全て対応していると、社内メンバーの心理的負担が強いのでこういった面でも外注を検討する価値があります。

コールセンターを外注する場合の最小構成は?

コールセンターを外注した場合の最小構成は月額30万~50万円程度になってきます。
繰り返しになりますがコールセンターを設置する目的はコストセンターではなく、プロフィットセンターにしなければなりません。オペレイティブな機能ではなくLTV向上に繋げる目的意識を持って運営することが重要です。
外注のメリットとしては対応マニュアルやスクリプトなど、コールセンターにこれまで蓄積されてきた知見を活かして運営・運用の支援が受けられるところが大きいです。
ブランドが社内で内製しているともちろん製品に対する知見は多いものの、コールセンター運営における成功の方程式と言ったものは無いため、ここは大きな外注する理由にもなります。

正しい用法や製品の特徴といった内容は外注のコールセンターで正しくお伝えできる?

コールセンターのオペレーターには一定の研修を行って製品についての知識はインプットしていくので基本的には充分な対応ができます。内容が特殊だったり答えるのが難しい質問の場合には、ブランド側に確認を取って折り返しご連絡するような対応になります。
1人で受けられる本数は(既存と新規でコールセンターを分けることが多い)、既存顧客の場合には必要な情報が多いので、少なくなる傾向があります。応対の難易度も新規・既存で異なるのでそれぞれ別で用意するケースがほとんどです。

コールセンターを最大限に活用するためのポイントとは?

コールセンターで受けたユーザーからのお声は広告などの獲得施策やCRMに活かせるように社内を整備しましょう。広告による訴求や、同梱物での用法説明などでUXの向上が期待できます。
また、使い続けているユーザーの声を集めることも重要です。使い続けてくれているユーザーがどこに価値を感じてくれているかを的確に掴むことができれば今後のブランドの経営に活かしていくことができます。
コールセンターでは解約申し込みなどでフィードバックを得ることが出来ますが、商品に満足して使い続けているロイヤルカスタマーからのご意見は入ってきません。そのためなにか特典を付けたアンケートなどをつかってお声を集めつつ、アンケートに電話でのヒアリングの許諾も取るという様な手法を取ることもあります。

ブランドに対して報告のフォーマットはあるの?どんな数値があるの?

ブランドへの報告ではアウトバウンドの場合、架電数・コンタクト率・受注率、インバウンドの場合、入電数・応答率・解約の方の数・解約理由(あまった、効果実感できなかった、高いなど)を報告しています。
既存顧客からの電話の6-7割は解約に関する内容です。解約阻止できる目安としてはそのうちの20%程度が目安になります。
大手ブランドだと過度な解約阻止がブランド毀損やクレームにつながるといったリスクを考慮して引き止めるトークをしない場合もあります。過度な対応でなければ本来問題ないのですが、その感じ方は人それぞれになってきてしまうので大手の場合は安全な方を選択するケースも多く見られます。

[まとめ]コールセンター運営で抑えるべき点?

  • コールセンターの設置がない場合、本当に必要ないのか、あったほうがLTVが伸びるポテンシャルは無いのか?という点を確認しましょう。
  • webでの解約フォームを用意しているブランドは多いと思いますが、ユーザーの声を聞くという機能は非常に重要ですので、一度検討してみることをおすすめします。
  • コストセンターにせず、LTV向上のためのプロフィットセンターとして認識して運営するべきです。
  • 未設置であれば現在の事業規模にもよるところが大きいですが、内製から始めるか外注を併用するかが検討要素になります。
    良好なコミュニケーションが取れていれば外注との併用時に内製に関するアドバイスをしてもらえるパートナーもいるので、そういったところと一緒に運営できるといいでしょう。
  • 外注の最小構成は月額30-50万程度が目処になります。
  • 外注の場合でも商品の情報などはオペレーターの方もインプットしてくれるので、問い合わせ対応などは充分問題なく対応可能です。
  • 既存ユーザーからの問い合わせは6-7割が解約申し込みとなり、解約阻止はそのうち2割程度が目安となります。

以上、D2Cブランドがおさえておくべきコールセンターの基本をお伝えしました。
資金調達以外にもマーケ戦略の壁打ちなども是非お話お伺いしたいので、コールセンターに関することもお気軽にご連絡いただけると嬉しいです。
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